医療系マンガとして古い部類に入るのは間違いなくブラックジャックですが、比較的新しい部類に入るのが医龍です。
この漫画はテレビドラマにもなりましたから、そっちのイメージが強い方が多いかもしれませんが、私は原作で読みましたから医龍と言えばマンガというイメージがありますね。
医龍はその他の医療系マンガとは視点が異なり、病院を舞台に繰り広げられるさまざまな権力争いにフューチャーした作品と言えます。

概要

医龍も比較的好きな漫画なのですが、純粋な医療系マンガが好きという方にとってはあまり共感できなかったかもしれません。
この話では医師が困っている患者を救う、ドクターと患者のコミュニケーションに焦点を当てるといったことよりも、病院内部で繰り広げられている患者には見えないドロドロした部分をクローズアップしていますから、私たち医療に携わる人間はより共感できるんです。

作品の主人公は朝田龍太郎という天才的な医療技術を持つ医師で、一度は医療の世界から身を引いたもののあるきっかけにより心臓外科医として復帰します。
そんな彼が勤務することになった病院は封建的な制度がいまだに続いており、大学医学部教授の野口が一大勢力を築いていました。

病院において医局の権威は相当なものですが、朝田はそんなものにまったく取り合おうとせずに次々と独自の判断で難手術を解決します。
このあたりは同じ医師としてとてもスッキリする部分ですね。

しかし、そんな彼に危機感を抱いた野口はついに朝田を排除しようと画策を始めるのです。
このあたりからドロドロとした物語が動き始めます。
医療マンガではありますが、人間のみにくい部分を垣間見える作品でもありますね。

魅力的な登場人物

医龍が医療系マンガとして人気を博した理由はいくつもありますが、一つには登場人物が魅力的ということが挙げられます。
特に主人公の朝田龍太郎は天才的で熟練の腕前を持つ外科医として描かれていますし、医龍と呼ばれる医療チームを率いていたこともあるカリスマです。

同じ医師として、天才的な腕を持つカリスマとなるとどうしてもリスペクトしたくなるものです。
天才的な腕と知識を持つ医師と言えばブラックジャックもそうですが、ブラックジャックはどうしてもアウトローな世界で活躍するダークヒーローというイメージがありますから。

また、主人公朝田たちと対立することになる野口賢雄も非常にイイ味を出しています。
絶対にこんな医師にはなりたくないという人物ですし、人間的に器の小さな部分もたくさんありますから、おそらく嫌っていた方がほとんどだとは思いますが、この人物のおかげで作品が締まっているような気もします。
良くも悪くもこの作品におけるアンチヒーロー的な存在ですね。